爪のトラブルにもいろいろな種類がありますが、特に注意したいのが「足の二枚爪」です。「足の爪なら目立たないから放置してもいいのでは?」と思うかもしれませんが、足先は靴や靴下などで蒸れやすく、汚れも詰まりやすいので、雑菌が繁殖しやすい環境です。
二枚爪を放置してしまうと、グリーンネイルや水虫など、ほかのトラブルが発症してしまうリスクがあるので、注意しなければなりません。しかし、足の二枚爪をどのようにケアすれば良いのか、治し方がわからないという方もいるのではないでしょうか。
ここでは、足の二枚爪の原因や応急処置、自分でできるケア方法などを紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
二枚爪とはどんな状態?
二枚爪とは、医学用語では「爪甲層状分裂症」(そうこうそうじょうぶんれつしょう)と呼ばれる爪のトラブルで、爪の層が剥がれてしまっている状態です。
爪は、表面から「トッププレート」「ミドルプレート」「アンダープレート」という3つの層で構成されています。これらの層はタンパク質によって結合していますが、外部の衝撃や栄養不足などにより、層が剥がれてしまうことがあります。層が剥がれると、隙間に空気が入ることで「二枚爪」の状態になってしまうのです。
主に爪の先端に起こりやすい症状ですが、見た目が悪くなるだけでなく、表面が凸凹になってしまうため、ネイルもきれいに仕上がりません。また、剥がれる部分によっては、痛みがあったり出血したりすることもあるため、早急なケアが必要となります。
特に足先は、靴で圧迫されたり、靴下などで蒸れたりしやすく、雑菌が繁殖しやすい環境にあるため、要注意です。
足の二枚爪を放置するリスク
手の指先は、洗い物をしたり洗濯をたたんだり、パソコンを打ったりするので、二枚爪になると不自由さを感じることが多くなります。しかし、足の指先は特に使わないので、不自由を感じないことから二枚爪になっても放置しがちです。
不自由さがないとしても、放置した場合はリスクが伴います。足先はほとんどの場合、靴や靴下、スリッパなどで覆われています。雑菌が繁殖して二枚爪の隙間から菌が入って、水虫やグリーンネイルを発症したり、悪化させたりするリスクがあるのです。
また、放置をして剥がれている部分が広くなると、指を動かす力が弱まったり、指の変形が引き起こされたりするリスクもあります。たかが「足の爪」と思うかもしれませんが、放置すると不自由さを感じこともあるので、二枚爪に気づいたら治すためのケアを始めましょう。
足の二枚爪の主な原因
足が二枚爪になってしまったら、早急に処置を行うことが重要です。確実に治すためには、原因を知っておく必要があります。原因がわかっていないと適切なケアができないだけでなく、ケアをしても改善できない可能性があるので、注意しましょう。また、二枚爪になっていない方でも、原因を知っておくと予防できます。
ここでは、原因と考えられる要因を6つ紹介するので、参考にしてみてください。
乾燥
洗浄力の高いボディーソープを使っていたり、お風呂上がりなどに保湿ケアをしていなかったりすると、足の爪も乾燥してしまいます。爪は乾燥するともろくなってしまうため、二枚爪になることがあるのです。
秋冬は空気中が乾燥しやすいため爪の水分が奪われ、靴下を履くことでもかさつきやすくなります。真夏は足が蒸れてしまうので、一見乾燥とは無縁に思えるかもしれません。しかし、素足になる機会が多く、紫外線により水分が失われやすいので、注意が必要です。
外的衝撃
爪は指先を守るためのパーツなので、ちょっとやそっとのことで割れたりしません。しかし、強い外的衝撃は爪にダメージを与えてしまうため、二枚爪になることがあります。
例えば、足の小指を家具の角にぶつけたり、誤って親指で物を強く蹴ったりすると、強い衝撃を受けてしまいます。家具に足の小指をぶつけて、飛び上がるほどの痛みを感じたことがある方もいるのではないでしょうか。それだけ強い衝撃を受ければ、小さいパーツの爪のタンパク質が剥がれてしまうのも、納得できるかもしれません。
栄養不足
爪に必要な栄養が不足することも、二枚爪の原因になります。爪は、体の栄養状態を表わすパーツの1つです。例えば、爪が黄色くなると、栄養障害や感染症の可能性があるといわれています。二枚爪の場合は、乾燥による水分量の低下だけでなく、栄養不足や鉄欠乏症貧血が関係していると考えられているので、要注意です。
「少し不摂生した」程度であれば、問題ありません。しかし、過度の食事制限をするダイエットやコンビニ食、ファーストフードを食べることが多く、慢性的に偏った食生活をしている人は、爪の健康に必要なタンパク質やミネラルなどが不足してしまうので、注意が必要です。
血行不良
血液は、必要な部分に栄養素を運ぶ役割をしているので、血行不良も二枚爪を引き起こす要因となります。
血行不良を自覚するのは難しいですが、例えば夏でも足先が冷たい、慢性的な頭痛や肩こりがある、むくみがあるという方は注意しましょう。また、これらの症状に当てはまらなくても、普段から猫背や姿勢が悪い、意識的に運動をしないというのも、血行不良が起こります。
いくら栄養をきちんと摂取していても、血行が悪く、栄養素を届けられなければ意味がありません。足先は特に血液が行きわたりづらいので、足首を回したりマッサージをしたりして血行を促進しましょう。
締めつけのある靴
締めつけのある靴も、二枚爪の原因になります。靴の中で爪が窮屈になると、親指や小指など一定部分に慢性的な負担がかかってしまい、そこから爪が傷んでしまうのです。特に、つま先が細くなっているヒールなどは、足の指を常に靴に押しつけている状態になります。できるだけつま先が広く、ヒールは低めのものを選ぶようにしましょう。
ジェルネイルやマニキュアによる負担
ジェルネイルやマニキュアには有機溶剤が含まれているので、乾燥を加速させてしまうことにより、二枚爪になってしまいます。指先のおしゃれを楽しむには、ジェルネイルやマニキュアが必須ですが、二枚爪になると仕上がりが悪くなるので、溶剤の扱いには注意してください。乾燥が加速することをしっかりと意識して、こまめに保湿することを心がけましょう。
また、ジェルをオフする溶剤や除光液は脱脂力が強いので、これも乾燥の原因になります。オフをするには必要なものですが、できるだけ短時間でオフできるように工夫することも重要です。
二枚爪になってしまったときの応急処置
二枚爪はすぐに治る症状ではありませんが、そのまま放置しておくと、亀裂が大きくなったり剥がれたりしてしまうかもしれません。剥がれると爪が短くなり、ジェルネイルなどをしている場合は見た目が悪くなってしまうので、応急処置を行いましょう。
ここでは、爪に厚みがある場合と、薄い場合の応急処置を紹介します。ご自身の爪に合った方法で、対処してみてください。
爪に厚みがある場合
爪に厚みがある場合は、削ったりしなくても、表面のサンディングで対処することが可能です。
エメリーボードやソフトファイルで段差を削り、表面をならしてください。このとき、力を入れて削るのではなく、表面を撫でるような感じでならすのがポイントです。力を入れてしまうと、自爪に負担をかけてしまい、逆に剥がれやすくなるので注意してください。
表面がなめらかになったら、シャイナーを使って爪にツヤを出せば自然に仕上がります
爪が薄い場合
爪が薄い場合は、サンディングするとダメージを与えてしまうため、削る方法はおすすめできません。爪に負担をかけず応急処置をするには、補強効果があるトップコートを使いましょう。段差を埋めるように薄めに1度塗りをして、しっかり乾かしたら表面を整えるために重ね塗りをしましょう。
また爪が薄い方は、除光液を頻繁に使うこともダメージにつながるので、頻繁にオフをしないのがポイントです。トップコートが剥がれてきても、再度上から重ね塗りをして、できる限り除光液を使わないようにしてください。
足の二枚爪の正しいケア方法
二枚爪になってしまったら、それ以上症状がひどくならないように、爪のケアをすることが重要です。ただし、ケアのやり方を間違えてしまうと、爪が割れたり剥がれたりすることもあるので、注意してください。
ここでは、正しいケア方法を紹介するので、自分の爪の状態にあった方法でケアをしていきましょう。
爪切りを使わずに爪用やすりで削る
爪切りは、思っている以上に爪に負担をかけてしまいます。特に、ストレスポイントと呼ばれるピンク部分と白い部分の境目のところは、負担をかけると二枚爪になりやすいので要注意です。また、爪切りで直角に切ってしまうと、断面がめくれやすくなり、爪の両端がひび割れることもあります。
このような負担をかけずに爪を整えたり短くしたりするには、爪切りではなく、爪用やすりを使うのがポイントです。爪ヤスリ(ネイルファイルなど)は、爪に対して45度の角度であてて、一方向に向かって削りましょう。
ヤスリを往復させるのは、爪へのダメージにつながります。力の入れすぎも負担をかけてしまうので、優しく力を入れすぎないように、好みの形、長さになるまで調整してください。
ネイルオイルなどで保湿する
手はこまめにハンドクリームを塗るという方でも、足の爪を保湿する方は少ないようです。当然ですが、足の爪も乾燥しやすいので、ネイルオイルで保湿をして強度を高めましょう。保湿をすると、二枚爪が予防できるだけでなく、爪自体を美しく健康にできます。
保湿するタイミングは、お風呂上がりなど清潔な状態のときがおすすめです。また、ストッキングや靴下を脱いだ後も乾燥しているので、帰宅をしたら足をきれいに洗って保湿をする習慣をつけましょう。
ネイルオイルがない場合は、ハンドクリームを使っても大丈夫です。ただし、ハンドクリームは甘皮や爪の保湿には向いていないので、早めに爪専用のオイルでケアを始めるのがベストです。
ストレングスナーで爪を補強する
もともと爪が薄い、割れやすいという方は、ストレングスナーを使ってみましょう。ストレングスナーは、爪に厚みを出すネイルアイテムなので、補強できます。耐久性の高い塗膜によって爪を保護することで、衝撃やダメージから守り、二枚爪を予防します。
ストレングスナーは透明なので、足先が悪目立ちすることもなく、塗り続けることで健康な自爪を育てる効果も期待できるでしょう。
ネイルをしばらくお休みする
ネイルは、爪の表面を保護する役割をしてくれる反面、オフをするときにアセトンなどで爪の表面にダメージを与えてしまうため、二枚爪の原因になることがあります。もしも、常にネイルをしていて、二枚爪になってしまうという場合は、ネイルをしばらくお休みしてみてください。
ネイルをお休みしている間に、爪の表面をしっかり保湿すれば、健康な爪が育っていきます。爪がしっかりと健康になれば、ネイルも楽しめるようになるので、少しの間我慢しましょう。
通気性の良い靴を履く
二枚爪の予防には、通気性の良い靴を履くのがおすすめです。通気性が良い靴であれば、爪への負担も軽減できるので、トラブル予防につながります。
つま先がきつかったり、サイズが合わなかったりする靴を履いているのであれば、靴自体を見直しましょう。デザインも大事ですが、それ以上に爪の健康が大事なので、爪へのダメージを考慮した靴を選んでみてください。
冬は靴下やタイツが欠かせませんが、これらのアイテムも少なからず負担になるので、帰宅したらすぐに脱ぐ習慣をつけましょう。
バランスの良い食生活を心がける
当然ですが、爪には栄養が必要なので、バランスの良い食生活を心がけることも重要です。爪を健康にするには、タンパク質やミネラル、ビタミン、亜鉛が効果的なので、積極的に摂取するようにしましょう。
特に重要なのは、爪の主成分となるケラチンです。ケラチンは、豚肉や鶏肉、卵などに含まれているので、意識して食べるようにするのがおすすめです。また、乾燥を防ぐビタミンAや細胞を活性化してくれるビタミンB2も摂るようにすると、より健康な爪の成長につながります。小松菜やほうれん草などの緑黄色野菜やレバー、ナッツなども食事に取り入れて、美爪を目指しましょう。
足の二枚爪が不安な方は病院を検討してみよう
足の二枚爪は、基本的にはセルフケアで治すことが可能です。しかし、ネイルオイルのケアを習慣にできなかったり、外食が多く栄養が偏ってしまったりすると、自力で治すのは難しいかもしれません。二枚爪の状態が長引いてしまうと、「このまま治らないのでは」と不安になることもあるでしょう。
不安な方は、病院を受診してみるのも1つの改善方法です。病院では、保湿剤を処方してくれたり、栄養指導をしてくれたりするので、正しいケアをすることが可能です。二枚爪は、炎症を起こす可能性もあり、内科系疾患が原因になっていることもあるので、病院でしっかり診てもらいましょう。
まとめ
きれいな爪を維持したいという方にとって、爪が二枚になってしまう二枚爪は、絶対に避けたいトラブルではないでしょうか。基本的には、しっかり保湿をして爪の栄養素を摂り、衝撃やダメージを与えないようにしていれば防げます。それでも二枚爪になってしまった場合は、原因を特定して、重点的なケアを心がけてください。
また、二枚爪は初期段階で気づくと、早めに改善することが可能です。しかし、足の爪のトラブルは見つけにくいので、確実に二枚爪予防をしたいという方は、ネイルサロンで定期的にケアをしてもらうことも検討してみるのも良いでしょう。