ある日突然、爪の横がぱっくり割れてしまったという経験がある方も多いのではないでしょうか。
爪の周りは、パソコンのキーボードを打ったり、洗い物や洗濯物をしたりするなど、指先を使ったときに圧迫されます。そのため、たとえ爪の横であっても、ちょっとした動作で痛みが発生します。傷は大小に関係なく、圧迫や刺激を受けると非常に痛いので、ぱっくり割れのせいで日常生活に支障をきたすことも少なくありません。
ここでは、爪の横がぱっくり割れてしまう原因や応急処置、日常でできるケアなどを紹介するので、少しでも早く改善するための参考にしてみてください。
爪の横がぱっくり割れてしまう原因
爪の横のぱっくり割れは、「ひび割れ」や「あかぎれ」の状態です。何らかの原因で爪周りの皮膚が乾燥すると、かゆみなどが起こる「ひび割れ」になります。その状態を放置すると、角層の下の真皮層までひび割れてしまうため、痛みが発症する「あかぎれ」になってしまうのです。
ただし、あかぎれは乾燥だけでなく、さまざまな原因から引き起こされます。ここでは、爪の横がぱっくり割れてしまう原因を解説します。
皮膚の乾燥
空気が乾燥する秋や冬、クーラーがかかった部屋は、汗や皮脂の分泌量が大幅に減少します。皮膚は、汗や皮脂によって保湿した状態を保てるので、分泌量が減少すると乾燥が引き起こされます。
乾燥した皮膚は、水分はもちろん、弾力性も失われてしまうことから、ひび割れやあかぎれによってぱっくり割れが生じてしまうのです。
皮膚への刺激
洗浄力の強い洗剤やシャンプー、アルコール消毒などは、皮膚に強い刺激を与えます。刺激を受けると、手や指先のダメージを守るバリア機能が低下してしまうため、乾燥が起こりやすい状態になります。
刺激を受けてからすぐにハンドクリームを塗ったとしても、洗浄剤や消毒を使っているときにすでにバリア機能が低下しているため、こまめに保湿することが重要です。
栄養不足
皮膚は、栄養によって細胞を修復して健康な状態を保っています。栄養不足になると、細胞修復に必要な栄養が行きわたらないことで、あかぎれができてしまいます。
栄養不足は自覚しづらいですが、食生活が不規則だったり、野菜をほとんど摂らなかったりする食事が多い場合は、栄養が不足している可能性があるので注意しましょう。
洗濯や食器洗いなどの水仕事
洗濯や食器洗いなどの水仕事を日常的に行っていると、あかぎれが起こりやすくなります。
皮膚は水に濡れると脂分が流れてしまうので、内部の水分が蒸発してしまいます。また、洗剤に含まれる洗浄剤もバリア機能を低下させるため、ダメージによって乾燥が引き起こされるのです。特にお湯は、手を洗うだけでも皮脂が落ちてしまうので、注意してください。
紙製品に触る機会が多い事務仕事
新聞紙やダンボール、包装紙など、紙製品に触れる機会が多い事務仕事をしている方は、あかぎれになりやすいかもしれません。
紙は皮膚の水分を吸収してしまうので、紙に触れる機会が多いと、水分量が低下することで乾燥が起こることがあります。また、紙は油分も吸収するため、ハンドクリームを塗らずに触ることも多いかもしれません。これが余計に皮膚の乾燥を悪化させるので、指サックをしたり軍手を使ったりして、直接紙に触れる機会を減らす工夫をしてみましょう。
加齢に伴う汗や皮脂の分泌量の減少
汗や皮脂の分泌量は空気の乾燥によって減少しますが、加齢も分泌量低下の原因となります。特に皮脂は、加齢とともに分泌が少なくなっていくので、よりこまめな保湿が必要です。
加齢に伴う汗や皮脂の分泌量の減少には個人差があるため、はっきりと年齢は断定できません。手だけでなく、肘やかかと、膝などが乾燥しやすくなったら、保湿ケアを徹底しましょう。
爪の横がぱっくり割れたときに自宅でできる応急処置
爪の横がぱっくり割れても、「そのうち治るだろう」と放置してしまう方がいるかもしれせん。小さな傷は、一見すぐ治りそうに思えますが、ぱっくり割れているところからばい菌が入ってしまう可能性があります。また傷口を保護しないと、刺激を受けることで治らなかったり、悪化したりすることも考えられます。
ここでは、自宅でできる応急処置の方法を紹介するので、早く治すためにも適切に対処しましょう。
患部を清潔にする
爪の横がぱっくり割れたら、まずは患部を清潔にしましょう。たとえ小さなひび割れでも、放置すると患部が広がってしまうリスクがあり、雑菌が入る恐れもあります。雑菌が入ると、炎症が起こって症状が悪化し、治りづらくなるかもしれません。
ただし、洗浄力の強いハンドソープで洗いすぎると、刺激によって症状が悪化したり、バリア機能が低下したりします。低刺激性のものを使い、優しく洗って清潔にしてください。
市販の医薬品のクリームや軟膏を使う
ひび割れの応急処置は、市販されている医薬品のクリームや軟膏を使いましょう。普通のハンドクリームなどで保湿をすればいいと思うかもしれませんが、香料や保存料などが多く入っていると、症状は改善されません。
医薬品は保湿力が強く、普通のハンドクリームのように余計な添加物は入っていないので、刺激を抑えながらしっかりと保湿することが可能です。
治癒タイプの絆創膏を使う
ぱっくり割れを効率良く改善したいという場合は、治癒タイプの絆創膏を使ってみるのがおすすめです。治癒タイプの絆創膏は、ぱっくり割れの部分をしっかり潤して治癒力を高めてくれるので、皮膚の再生を促進してくれます。
指先は頻繁に物に触れるので、軟膏やクリームを塗っても効果が薄れてしまいますが、絆創膏であれば患部を守ることが可能です。治癒タイプの絆創膏には、不織布タイプや防水タイプなどがあるので、日常生活で使いやすいほうを選ぶと良いでしょう。
手袋などで傷口を保護する
ぱっくり割れている指先は、傷や炎症などにより、ちょっとした刺激にも敏感な状態です。いくら保湿をしても、刺激を受けてしまうと治りが遅くなるので、手袋などで傷口を保護してあげましょう。ただし、手袋自体が刺激になってしまうこともあるので、絹など皮膚への刺激が少ない素材を選ぶのがおすすめです。
爪の横のぱっくり割れを防ぐための日常ケア
爪の横のぱっくり割れは、ほとんどの場合、乾燥や日常生活の小さなことが原因で起こります。つまり、日常的にケアをしていれば防げるのです。
ジェルネイルをしている場合、ぱっくり割れが起こっている状態でジェルを塗布してしまうと、ジェルアレルギーが引き起こされることもあります。アレルギーになるとネイルを楽しめなくなるので、日常ケアでぱっくり割れを未然に防ぎましょう。
丁寧に保湿を行う
日常的なケアで必須となるのが、丁寧に保湿を行うことです。
水仕事をしたり、入浴や洗顔などでお湯を使ったりしたときに、保湿をするという方も多いでしょう。しかし、手や指先は、水を使ったときだけに乾燥するわけではありません。タオルで手を拭いたり、洗濯物をたたんだり、スマホやパソコンをいじったりするだけでも乾燥します。
これらの乾燥を防ぐためには、丁寧に保湿をする必要があります。まずは爪周りにネイルオイルを塗布し、マッサージをしながら揉み込みましょう。次に、ハンドクリームを手の甲や指先に塗り伸ばしてください。このケアを1日10回以上行うと、保湿によって潤いを保てます。
水仕事の際はゴム手袋を使う
たとえ保湿をするとしても、水仕事の際はゴム手袋を使いましょう。手や指先は、水を使っている間に潤いが奪われてしまうため、乾燥しやすくなってしまいます。ゴム手袋をしていれば、水によるダメージを防げるので、乾燥から指先を守ることが可能です。
食生活を改善する
皮膚は、ターンオーバーを繰り返すことで健康な状態を維持し、バリア機能も活性化します。ターンオーバーサイクルが乱れると、肌の乾燥が進行したり、トラブルが起こったりするので、食生活を改善してしっかり栄養を摂りましょう。
乾燥肌を防ぐには、皮膚に必要な栄養素をしっかり摂取するのがポイントです。乾燥予防に効果的が期待できる栄養素は、以下のとおりです。
<乾燥予防に効果的が期待できる栄養素>
- ビタミンA(緑黄色野菜・レバーなど)
- ビタミンB群(うなぎ・レバー・鶏肉など)
- ビタミンC(キウイ・いちご・ピーマン・ブロッコリーなど)
- ビタミンE(さば・いわし・ナッツ類・植物性油など)
- タンパク質(卵・乳製品・大豆製品・肉類など)
- 食物繊維(芋類・根野菜・海藻など)
- 必須脂肪酸(さば・いわし・エゴマ油・亜麻仁油など)
- 亜鉛(かき・チーズ・卵黄・牛肉など)
これらの栄養素をバランス良く食事に取り入れることで、乾燥を防げるのはもちろん、乾燥肌の改善効果も期待できます。
皮膚を水で濡らした際はすぐに水気を拭き取る
皮膚が水で濡れている状態だと、水が蒸発するときに皮膚の水分も奪われてしまうので、乾燥が引き起こされます。
水分の蒸発を防ぐには、手を水で濡らした際にすぐ水気を拭き取ることがポイントです。拭き取るタオルは、できるだけ吸水性が高いものにして、すばやく拭き取れるようにしましょう。また、拭き取るときにゴシゴシとこするのではなく、水滴をタオルに染みこませるように、ぽんぽんと優しく拭き取ってください。
熱いお湯の使用に気を付ける
熱いお湯は皮脂を落としてしまい、皮膚の水分を蒸発させやすくします。そのため、熱めのお湯で食器洗いをしたり、シャワーを浴びたり、熱いお湯に入浴した後は肌が乾燥してしまうのです。
シャワーやお風呂は、熱めのお湯のほうが気持ち良いかもしれません。しかし、長時間にわたって手をお湯につけることで、皮脂が失われてしまいます。温度を下げるか、お湯に触れる時間を短くするなど、熱いお湯の使用には気を付けましょう。
部屋の乾燥を防ぐ
エアコンをつけると、部屋の湿気が奪われて湿度が低くなります。湿度の低い部屋は、皮膚の乾燥を引き起こし、あかぎれが発症するリスクが高まるので要注意です。
保湿クリームをこまめに塗れば乾燥を防げますが、少し手仕事をするだけで油分が取れてしまうので、部屋の湿度を上げるのが理想的です。加湿器をつけるのがもっとも手軽な方法ですが、加湿器がない場合は、お湯で濡らしたタオルを部屋に干したりお湯を沸かしたりして、部屋の湿度を高めて乾燥を防ぎましょう。
外出時に手袋をする
秋から冬にかけては、湿度が大幅に低下して空気が乾燥します。空気が乾燥していると、皮脂や汗の分泌量が少なくなってしまうため、肌を露出しているとどんどん水分が奪われることになります。顔はメイクで乾燥を防げますが、手は寒気にさらされるので、乾燥を防ぐためにも外出時は手袋をしましょう。
セルフケアで症状が改善しない場合は皮膚科を検討しよう
セルフケアを実践しても症状が改善しない場合は、皮膚科の受診を検討してください。皮膚科を受診すれば、傷がこれ以上ひどくならないように処置をしてくれます。傷の状態に合わせた抗生物質や塗り薬を処方してくれるので、悪化を防ぐことが可能です。
「たかがあかぎれで」と思うかもしれませんが、保湿をして乾燥を防ぎ、刺激から傷口を守っても治らない場合は、内部で炎症がひどくなっている可能性があります。炎症した状態を放置すると、さらに悪化して傷口が広がってしまうことがあるので、面倒でも皮膚科でしっかり診てもらいましょう。
まとめ
爪の横のぱっくり割れは、主に乾燥や水、お湯などの刺激が原因で起こります。そのため、多くの場合は保湿ケアを徹底したり、刺激を排除したりすることで治ります。しかし、すぐに治るとは限らないうえ、治るまではネイルがNGです。
ポリッシュネイルでもジェルネイルでも、施術に使うアイテムは刺激になってしまうものが多いので、さらに悪化したり、ジェルアレルギーになったりするリスクがあります。爪の横がぱっくり割れている状態ではネイルを楽しめないので、セルフケアで早めに改善することが重要です。
何をしても治らない、どんどん悪化するという場合は、皮膚科で専門的な治療を受けて、1日でも早く健康な爪周りを取り戻しましょう。