反り爪になると、爪特有のきれいな曲線が出ないので、ネイルすることをためらってしまう方もいるでしょう。
本来、爪は根元から先端にかけて、爪に沿うように緩やかな湾曲を描いています。しかし、反り爪は名前のとおり、反り腰のように中央が凹み、先端が上向きになっている状態なので、見た目の悪さに悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
反り爪は治らないイメージがあるかもしれませんが、原因によってはセルフケアで改善することも可能です。ここでは、反り爪の原因や治し方、反り爪を予防する栄養素などを紹介するので、美爪を目指す方は参考にしてみてください。
反り爪とは?
反り爪とは、爪甲の中央部分が凹んで先端が上向きになり、爪が反り返った状態になる症状です。スプーンネイル(匙状爪)とも呼ばれています。短い状態であれば、日常生活に大きな支障が出ることはないかもしれません。しかし、伸ばしてしまうと、少しの動作でも先端が引っかかってしまうため、割れたり剥がれそうになったりするリスクがあります。
本来の爪の形は、指に沿って緩やかにカーブしており、中央部分が少しふっくらしています。先端も上向きになることがなく、ある程度までならきれいに伸ばせるので、ネイルを楽しめるでしょう。一方、反り爪は伸ばせないので、少しでも反り爪の兆候があった場合は、早めにセルフケアを行うことをおすすめします。
反り爪になる原因
反り爪になるのは、下記のような原因が考えられます。
<反り爪になる原因>
- 生まれつき
- 間違った爪の切り方
- 貧血などによる栄養不足
- 指先に負担がかかる仕事
- ジェルネイルをオフする際に使う強い溶剤
ここでは、これらの原因について解説します。
生まれつき
物心がついたときから反り爪の場合は、生まれつきの可能性があります。なかには、病気が原因であるケースも考えられます。
例えば、甲状腺に病気があったり、内臓が虚弱だったりすると、その影響が爪に表れている可能性があるのです。もともと、爪は体の健康状態を表すといわれているので、病気や不調が改善されれば、反り爪も治るかもしれません。
間違った爪の切り方
反り爪になるのは、手のひら側の指の先端(指腹)に、爪甲が支えられる以上の力が加えられることが原因です。爪甲が指腹に加わる力をしっかり支えるには、爪甲と皮膚がつながっていなければなりません。
爪を切る場合は、爪の両側を切りすぎないようにするのが基本です。しかし、間違って爪の両側を丸くカットしてしまうと、爪甲は指腹にかかる力を支えきれなくなってしまいます。指腹を支えられなくなると、爪甲の中央部分が凹んで反り爪になるので、爪の切り方にも注意しましょう。
貧血などによる栄養不足
爪は、「ケラチン」というタンパク質でできていますが、タンパク質だけで構成されているわけではありません。ほかにも、ビタミンやミネラル、亜鉛や鉄分など、さまざまな栄養素の相互作用によって健康な爪が作られています。
そのため、食生活が偏っていたり、不規則だったりすると、栄養不足になることで反り爪になってしまいます。また栄養素は血液で運ばれるので、貧血などで血流が悪くなっていると、栄養が届かずに爪が反ってしまうこともあるため、注意しましょう。
指先に負担がかかる仕事
パソコンの入力や重たいものを持つなど、指先に負担がかかる仕事をしていることも、原因となることがあります。指先の負担は爪への負担にもなるため、日常的に負荷をかけつづけることで、爪が薄くなってしまいます。ほかにも、常に水を使う仕事をしていたり、草抜きや畑仕事をしていたりすることも、指先へのダメージや圧につながるので要注意です。
ジェルネイルをオフする際に使う強い溶剤
ジェルネイル自体は、爪にダメージを与えることはありません。しかし、オフする際には強い溶剤を使うため、この溶剤のせいでダメージを与えてしまうことがあります。
ネイルサロンでは、自爪に負担をかけすぎないように、サンディングや溶剤の塗布時間を守っています。しかし、セルフネイルの場合は、サンディングしすぎたり、塗布時間が長すぎたりすることもあるかもしれません。自爪まで傷つけるサンディングや溶剤の塗布時間が長いと、爪に大きなダメージを与えてしまい、反り爪になることもあるのです。
また、オフする際に爪の表層まで剥がしてしまったり、オフ後の保湿ケアが不十分だったりすることも、原因となります。
反り爪の治し方やセルフケア
爪は硬いので、反り爪になってしまうと治らないと思っている方も多いかもしれません。生まれつきの場合は治すのが難しいですが、間違った爪の切り方や栄養不足、保湿不足によるダメージが原因であれば、治る可能性があります。
完全に治るまでには時間がかかりますが、それでも原因となっていることを改善して毎日セルフケアを続けていれば、理想の爪に近づけます。ここでは、症状改善に効果が期待できるセルフケアを紹介するので、諦めずにチャレンジしてみてください。
食事の栄養バランスを見直す
爪は栄養から作られるので、食生活が乱れている場合は、食事の栄養バランスを見直すことが重要です。反り爪を改善するためにもっとも必要な鉄分だけでなく、タンパク質やビタミン、ミネラルなどの栄養素も取り入れたバランスの良い食事を心がけましょう。
肉や魚、葉物野菜や根野菜、大豆類や乳製品など、できるだけ多くの食材を取り入れるようにすると、食事のバランスが整います。
保湿クリームやオイルを使用する
爪にとって乾燥は大敵なので、保湿クリームやネイルオイルでしっかり保湿をしましょう。保湿というと、秋から冬のイメージがありますが、指は日常的に使う部位なので、爪はどの季節でも乾燥しやすいです。そのため、季節に関係なく、毎日の保湿ケアを徹底しましょう。
保湿クリームを塗ったら、さらに爪まわりの皮膚にネイルオイルを塗ることをおすすめします。油分と水分でしっかり保湿をすることで乾燥を防ぎ、健康な爪を育てることが可能です。
質の良い睡眠をとる
爪に必要な栄養素を運ぶには、血液がしっかり流れていなければなりません。血液が体内を巡るためには、十分な量が必要です。血液は睡眠中に作られるので、質の良い睡眠をとることで、爪への栄養も行きわたるようになります。
寝る前にはスマホやテレビを見ない、寝る前に軽いストレッチをする、ラベンダーなど副交感神経を優位にする香りを嗅ぐなどの工夫で、良質な睡眠をとるように心がけましょう。
爪をスクエアオフの形に整える
爪の長さを整えるときには、爪切りでダメージを与えないようにするのはもちろん、スクエアオフの形に整えるのも効果的です。スクエアオフにすれば、爪の先端がまっすぐで、両端のラインもまっすぐになるので、強度が高くなることにより指からの圧を軽減できます。
整えるときには、ネイルファイルやヤスリなどを使い、一方向に向かって削るようにすると、より負担の軽減につながります。
自分の足のサイズに合う靴を履く
足が反り爪になってしまった場合は、自分の足のサイズに合う靴を履きましょう。サイズの確認方法は、つま先に余裕があるか、足の指の上部に余裕があるか、足の甲もしくは足首がしっかり固定できるかの3点です。
つま先や足指の上部に余裕がないと、指が曲がって爪に負担がかかります。また、足をしっかり固定できない靴は、歩行中に足指が圧迫されて爪にダメージを与えてしまうので、靴は必ずサイズに合ったものを履きましょう。
重い荷物を持つときなどは軍手を着用する
重い荷物を持つときなどは、軍手を着用しましょう。軍手を着用すれば、指への圧が軽減され、外部の衝撃から爪を守ることも可能です。
手のひら側にゴムがついている軍手であれば、荷物を持つときに余計な力を入れる必要がないので、指への負担を軽減する効果も期待できるでしょう。
反り爪を予防するために必要な栄養素
人間の体を構成する細胞は、血液から栄養を受け取ることで新しく生まれ変わります。つまり、栄養が不足してしまうと、新陳代謝も正常に行われません。その結果、肌にシワができたり、髪がぱさついたり、美容に大きな影響を与えることになります。
爪も例外ではなく、栄養素が行き届かないことにより、反り爪になってしまうことがあるのです。ここでは、反り爪を予防するために必要な栄養素を紹介するので、毎日の食生活で意識して取り入れてみましょう。
鉄分
鉄分が不足すると、血中のヘモグロビンが減少することで爪が白く見えます。この時点で鉄不足を改善しないと、爪が弱くなって反り爪になったり、溝ができてしまったりするので、しっかり鉄分を補充しましょう。
鉄分は、青菜や海藻類にも含まれていますが、これらの食材には食物繊維が含まれています。食物繊維は排泄を促進する作用があるため、鉄の吸収効率が悪いことが特徴です。もも肉やヒレ肉などの赤身の肉や、鰹やまぐろなどの赤身の魚から摂るのがおすすめです。
ビタミンC
鉄分は、ビタミンCと一緒に摂取することで、吸収率がアップします。赤身の肉や魚を食べる際には、ビタミンCが含まれる食材をプラスしましょう。
ビタミンCを多く含む食材は、パプリカやブロッコリー、ゴールドキウイなどがあります。ただし、加熱をすると栄養素が壊れやすいという特徴があるので、熱に強いピーマンやじゃがいもなどから摂ることを心がけましょう。
ミネラル
爪の健康に欠かせないカルシウムやマグネシウムなどのミネラルは、体内で生成されない栄養素なので、食事で摂取しなければなりません。特に亜鉛は、ケラチンの生成に関わるミネラルなので、積極的に摂取しましょう。
ミネラルは、緑野菜やナッツ、豆類、肉類や魚介類などに含まれるので、いろいろな食材を取り入れることでバランス良く摂取できます。
タンパク質
タンパク質は、爪の主成分ともいえる栄養素です。タンパク質だけ摂取しても爪は育ちませんが、タンパク質が不足していると健康な爪が生成されません。タンパク質は鶏胸肉や鶏のささみ、卵や大豆製品などに含まれているので、副菜に取り入れて補いましょう。
反り爪を予防するための保湿ケア
「今は反り爪ではない」という方でも、保湿を怠ったり、家事をたくさんこなしたりしていると、いつの間にか乾燥によって爪が反ってしまうかもしれません。一度反り爪になってしまうと、保湿ケアだけでは治らないこともあるので、油断は禁物です。
逆に、しっかりと保湿ケアをしていれば、健康な爪を保つことが可能です。ここでは、反り爪予防に効果的な保湿ケアを紹介するので、美しい爪を維持するためにも実践してみてください。
保湿クリームやオイルをこまめに塗る
爪の乾燥を防ぐには、保湿クリームやオイルをこまめに塗るのがもっとも効果的です。指先は、日常の中で何かに触れていることが多いので、水仕事の後だけではなく、仕事の合間などにも保湿を心がけましょう。
保湿クリームやオイルを塗る頻度の理想としては、1日10回ほどです。保湿クリームやオイルは指先がベタつくので、事務仕事や家事をするときには塗り直しができないかもしれません。もしこまめに塗るのが難しい場合は、手洗い後や休憩時間、就寝前など、手をあまり使わなくて良いタイミングで塗るようにしましょう。
オイルなどを使ってマッサージをする
爪のトラブル改善には、オイルを使ったマッサージで保湿するのが効果的です。オイルだけでも保湿効果がありますが、根元を中心にマッサージをすることで指先の循環が良くなり、保湿効果が高まります。
オイルを塗ったら、指の根元を軽く押し回しながらマッサージをしてみましょう。さらに、爪のサイドをぐっと押して圧をかけると、より巡りがアップします。
手袋をして乾燥を防ぐ
爪は皮膚の一部なので、水や洗剤などを直接使うと乾燥してしまいます。また、紫外線のダメージも受けるので、手袋をして乾燥を防ぎましょう。水仕事をする際にはゴム手袋を着用し、外出時はUVカット効果のある手袋をすることで、外部からの刺激による乾燥から爪を守れます。
また、就寝前には保湿クリームやオイルを塗って、絹や綿などの天然素材の手袋をすると、寝ている間の乾燥を防ぐことも可能です。
まとめ
反り爪は生まれつきという方もいますが、多くの場合、爪切りのダメージや栄養不足、乾燥などの原因があります。基本的には、原因を取り除くことで改善できます。しかし、日常的にセルフケアをするのが難しかったり、仕事などで指先にダメージを与えてしまったりするので、なかなか改善できないという方もいるかもしれません。
そういった場合は、ネイルサロンを利用してみるのもおすすめです。ネイルサロンによっては、爪や手足の保湿ケアやマッサージ、ダメージを与えずに整えるファイリングなどのメニューがあるので、反り爪の改善効果が期待できます。すぐに治すのは難しい症状ですが、正しいケアを続けて美しい自爪を取り戻しましょう。