ネイルサロンのメニューの中で、少しお高めの施術である「スカルプネイル」を経験したことがない人も多いでしょう。そもそも「ジェルネイルと同じものなのになぜ高いの?」と疑問に思うかもしれません。
実は、スカルプネイルはネイル上級者に人気の高い施術のひとつです。理想の長さや美しいフォルムを自由に作れることが、人気の理由として挙げられます。一方で、気軽にチャレンジできる価格ではなく、施術時間が長いといったデメリットもあります。
そこで今回は、スカルプネイルとはなにか、ジェルネイルの違いやメリット・デメリットなどを紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
スカルプネイル(スカルプチュア)とは
スカルプネイル(スカルプチュア)とは、アクリルリキッドとアクリルパウダーを混ぜたものを使い、自爪の上に人工的な爪を形成するネイル技術のひとつです。
スカルプネイルは、細くて長い爪のアートを楽しむための施術という印象があるかもしれませんが、もともとは割れやすかったり欠けやすかったり、爪トラブルが多い人のための施術でした。しかし、強度が高く、長い爪を作っても折れたり欠けたりしないことから、普通の爪より細く長いネイルアートを楽しみたい人に支持されています。
ジェルネイルとの違い
スカルプネイルとジェルネイルの見た目はほぼ同じですが、使用する材料や施術方法に違いがあります。
スカルプネイルは、アクリルパウダーとリキッドを混ぜて筆に取り、自爪の上に人工的な爪を作って、自然乾燥で硬化させます。一方のジェルネイルは、専用のジェルを爪に塗布して、UVライトまたはLEDライトで硬化させるので、施術方法がまったく異なるのです。
スカルプネイルは長さ出しに優れ、シャープな形も自由に作れますが、アクリルを爪に付けているような感覚なので、若干の違和感があるかもしれません。ジェルネイルであれば、自爪に近い感覚の自然な厚みしか出さないので、爪への負担が比較的少ないことも違いといえるでしょう。
スカルプネイルのメリット
スカルプネイルは、ネイル上級者から支持されている施術であり、以下4つのメリットがあります。
<スカルプネイルのメリット>
- 好きな長さや形が作れる
- 折れた爪を補強できる
- きれいなCカーブが作れる
- 爪噛み・巻き爪の矯正に向いている
それぞれを具体的に見ていきましょう。
好きな長さや形が作れる
スカルプネイルの一番のメリットは、長さや形を自由に調整できることです。アクリルを使用するので、自爪がどれほど短くても、強度の高いロングネイルに仕上げることが可能です。
また、形もスクエアやオーバル、アーモンドなど好みに合わせて整えられるため、自分の指や理想に合った指先をデザインできます。先端を細くしたり、尖らせたりするデザインでも傷つきにくいので、華やかなアートや存在感のあるネイルを楽しめることもメリットです。
折れた爪を補強できる
折れたり欠けたりした爪を補強できることも、スカルプネイルのメリットです。自爪に直接アクリルを重ねて形を整えるので「急に爪が折れてしまった」「1本だけ欠けてしまった」など、爪トラブルにもすぐ対応できるのが魅力です。
また、スカルプは強度が高いため、日常生活での衝撃からも爪を守ってくれます。爪は、炊事洗濯などの衝撃でも折れてしまうことがありますが、スカルプネイルは衝撃を抑えられるため、健康的に爪を伸ばしたい人にもおすすめです。
きれいなCカーブが作れる
スカルプネイルでは、長さ出しをするときに、爪の両サイドを親指で挟む「ピンチ」という工程を行います。両サイドを挟むことで、自爪ではなかなか作れない、Cカーブと呼ばれる美しいアーチ状のカーブを人工的に作れることもメリットです。
Cカーブは、爪を立体的に見せるだけでなく、強度を高める効果もあります。カーブの角度を調整できるため、指先が細く見えるなど見た目の美しさもアップします。ジェルネイルではピンチを行わないので、しっかりとしたカーブを表現できるのは、スカルプならではのメリットです。
爪噛み・巻き爪の矯正に向いている
爪を噛んでしまう癖がある人や、巻き爪で悩んでいるの人の矯正に適していることもメリットです。人工的にしっかりと硬い爪を作ると、物理的に噛みにくくなることから、噛み癖を改善して爪の育成をサポートする効果が期待できます。
また巻き爪に対しては、スカルプで形を整えるときに逆ピンチを行い、内側に丸まっている爪の湾曲を、外側に向かって定着させることが可能です。
噛み癖や巻き爪のトラブルはネイルを楽しめないイメージがあるかもしれませんが、スカルプであれば、ネイルを楽しみつつ爪の悩みをケアできることも、メリットといえるでしょう。
スカルプネイルのデメリット
スカルプネイルには多くのメリットがある反面、下記のようなデメリットもあります。
<スカルプネイルのデメリット>
- 自爪に負担がかかる
- ジェルネイルより時間がかかる
- 自分でオフできない
- 独特なにおいがある
それぞれを具体的に見ていきましょう。
自爪に負担がかかる
スカルプネイルは、硬くて丈夫な人工爪を作れる一方で、自爪への負担がかかるというデメリットがあります。施術時に爪の表面を削り、オフするときにも削る工程があるため、繰り返すと爪が薄くなったり、弱くなったりするリスクがあるのです。
自爪が薄い人や、セルフネイルでダメージを与えてしまっている人には、向いていないかもしれません。
ジェルネイルより時間がかかる
スカルプネイルは、アクリルパウダーとリキッドを混ぜたものを使い、1本ずつフォルムを整えたり、長さ出しをしたりして形成します。そのため、ジェルネイルと比べて施術時間が長くなることがデメリットです。
一般的には2〜3時間ほどかかることもあり、アートを加えるとさらに時間がかかる場合もあります。スピード重視の人にとって、施術時間が長いのはデメリットになるでしょう。
しかし、時間がかかる分、形や強度にこだわった美しい仕上がりになるのがスカルプの魅力なので、時間に余裕がある人にとってはデメリットにならないでしょう。
自分でオフできない
スカルプネイルは強度が高いので、普通の爪切りではカットできません。オフするときには、専用のネイルマシンや刺激の強いアセトンを使う必要があるので、自宅で簡単にオフ(除去)できないことがデメリットです。
無理に剥がそうとすると自爪を大きく傷つけてしまうため、必ずネイルサロンでプロにオフしてもらう必要があります。また、オフにも時間と費用がかかるため、メンテナンスの手間やコストもデメリットに感じるかもしれません。
独特なにおいがある
スカルプネイルで使うアクリルリキッドには、独特なにおいがあります。施術中は常にリキッドのにおいがすることから、敏感な人や体調が悪いときには、においがデメリットになることもあるようです。
一般的なサロンでは換気をしっかり行っていますが、無臭のジェルネイルと比較すると気になる人もいるかもしれません。においが不安な人は、事前にサロンにそのことを伝え、施術スペースの環境を確認しておくことをおすすめします。
スカルプネイルがおすすめの人
スカルプネイルは、以下のような人におすすめできます。
<スカルプネイルがおすすめの人>
- 爪の形や長さにこだわりたい人
- 自爪が弱い人
ひとつずつ解説します。
爪の形や長さにこだわりたい人
爪の形を整えたり、長さを出したりすることは、ジェルネイルでも可能です。しかし、スカルプネイルはフォルムを変えられるうえに強度が強いため、自爪の形に関係なく理想の長さやフォルムを自在に作れます。
ジェルネイルは、自爪の形に沿ってフォルムを作りますが、スカルプはスクエアやオーバル、バレリーナ型など求める形を再現でき、指先の印象を大きく変えることが可能です。また、ジェルネイルよりも硬く、凝ったアートやロングスタイルも楽しめます。
爪の形にこだわりがある人や、手元を美しく見せたい人におすすめのネイル技術です。
自爪が弱い人
スカルプは、すぐ二枚爪になってしまう、すぐに折れてしまうなど、自爪が弱い人の補強にも適しています。
スカルプで使用するアクリルは強度が高く、日常生活で指先に受ける衝撃から爪を守ってくれます。また、ネイルの補強効果も高く、育爪のサポートとしても活用できます。爪を伸ばしたいけど、途中で折れてしまうという人にもおすすめです。
スカルプネイルの施術の流れ
スカルプネイルの施術の流れは、デザインやアートによって異なるものの、基本的には下記のような手順で行います。
STEP1:カウンセリング
希望の長さ・形・デザインなどをカウンセリングします。また、爪の状態もチェックし、施術に適しているかを確認します。
STEP2:爪の下準備(プレパレーション)
爪や手を清潔な状態にした後、甘皮処理や爪の表面の油分・水分除去を行い、軽くサンディング(表面を削る作業)して、スカルプが密着しやすいように整えていきます。
STEP3:フォームまたはチップの装着
長さ出しをするために、爪の先にネイルフォーム(シール状の土台)またはネイルチップを装着します。
STEP4:アクリル・スカルプ用ジェルの塗布
アクリルリキッドとパウダーを混ぜた「アクリルミクスチャー」、もしくはスカルプ用ジェルを使用して、爪の形を1本ずつ作ります。
STEP5:硬化・整形
アクリルの場合は自然硬化、ジェルの場合はUV/LEDライトで硬化させます。自然硬化をしている間に、ピンチングを行ってCカーブを整え、その後に長さ・形をファイル(やすり)で整えます。
STEP6:表面の調整
凹凸や段差をなめらかにして、フォルムを仕上げていきます。
STEP7:カラージェル・アートの施術
メニューによってカラーやアートの施術を行い、トップジェルでコーティングし、ツヤを出します。
STEP8:仕上げ・保湿ケア
最後は未硬化ジェルを拭き取り、キューティクルオイルで保湿して完成です。また、仕上がりの確認を行い、サロンによっては自宅でのケア方法のアドバイスをして完了です。
スカルプネイルの3つの注意点
スカルプネイルは、強度と美しさを兼ね備えた魅力的なネイルですが、間違った扱いをすると自爪のダメージやトラブルが起こるので、注意が必要です。美しい状態をキープするためには、日常生活の中で気を付けたいポイントがあります。
ここでは、スカルプネイルの美しさをキープするために必要な3つの注意点を紹介します。
爪の扱いに注意する
スカルプネイルは丈夫であることが特徴ですが、それでも過剰な衝撃や無理な力が加わると、折れたり欠けたりすることがあります。例えば、缶のプルタブを爪先で開けたり、段ボールを爪で引っ張って開けたりするなど、指先に大きな負荷がかかる動作には注意が必要です。
また、ロングネイルにした場合は、家具や洋服に引っかかるリスクもあります。日常のちょっとした動作への意識で、ネイルの持ち具合が変わってきます。ネイルを長く美しく保つには、爪の扱いに注意することが大切です。
爪切りで無理に切らない
自爪が伸びるとネイルも長くなってしまうので、自分でカットしたくなるかもしれません。しかし、爪切りで無理にカットするのはNGです。スカルプは自爪より厚さや硬さがあり、爪切りで無理に切ってしまうと、ヒビが入ったり、スカルプが浮いて剥がれたりします。場合によっては自爪まで割れてしまうこともあるので、注意してください。
長さを調整したいときは、必ずネイルファイルを使って削るか、サロンでメンテナンスしてもらうのがベストです。
スカルプネイルの浮きは放置しない
スカルプネイルが根元やサイドから浮いてきた場合は、放置せず早めにサロンでメンテナンスをしましょう。浮いた部分を放置してしまうと、水や汚れが入り込んで、グリーンネイル(緑膿菌による爪の感染症)などのトラブルにつながるリスクがあります。
また、浮いたままの状態で日常生活を送っていると、何らかの衝撃でスカルプが一気に取れてしまうかもしれません。スカルプは密着性が高いことから、取れるときに自爪が傷つくこともあるので、少しでも浮きを感じたら早めにネイルサロンに相談することが重要です。
まとめ
スカルプネイルは、長さや形を自由にデザインでき、自爪の弱さもカバーできる優れたネイル技術です。ジェルネイルでは出せない強度と美しさを兼ね備えていることから、ネイル上級者にも人気となる理由が詰まっています。
特別な日のネイルはもちろん、指先をもっときれいに見せたい人や、自爪の育成をサポートしたいという人にもぴったりです。施術時間が長い、コストが少し高いなどのデメリットもありますが、どんな爪でも理想のネイルに仕上がるので、ネイルサロンでスカルプネイルをぜひ体験してみてください。