ネイルの長さ出しは、短い自爪を理想の形や長さに整えたいときに役立つ方法です。また、ジェルネイルなどのデザインを美しく魅せるために、ある程度の長さが必要なときにも活用できます。基本的にはネイルサロンで行うメニューですが、最近は100均のアイテムなどを使い、セルフで挑戦する人も多いです。
長さ出しには、ジェルスカルプやアクリルスカルプ、チップオーバーレイなどいくつかの種類があり、それぞれにメリットやデメリット、向いている人が異なります。
そこで今回は、各方法の特徴や必要な道具、基本的な手順をわかりやすく解説します。初心者が失敗しないためのポイントもご紹介するので、自分に合った方法を見つけてネイルの幅を広げましょう。
ネイルの長さ出しとは?
ネイルの長さ出しとは、地爪よりも長い爪を人工的に作る技術のことをいいます。爪が短いと、ジェルネイルのデザインが限られますが、長さ出しをすれば好きなデザインに仕上げることが可能です。
ジェルネイルをする際に必要な長さは、デザインによって異なりますが、爪の先端の白い部分が1mmを超えていれば十分です。しかし、グラデーションやフレンチネイルのようなデザインは、長いほうが映えるので、長さ出しをしたほうが良いでしょう。
以前はネイルサロンで施術するのが一般的でしたが、近年ではセルフネイルでも長さ出しができるアイテムが増え、自宅で挑戦する人も増えています。特に「チップ」「アクリルスカルプ」「ジェルスカルプ」の3種類は、比較的そろえやすい道具で始められるため、初心者にもおすすめです。
それぞれ特徴や扱い方が異なるため、自分のライフスタイルやスキルに合った方法を選ぶことが、失敗を防ぐポイントとなります。
ネイルの長さ出しの種類
ネイルの長さ出しには、主に3つの種類があります。
<ネイルの長さ出しの種類>
- アクリルスカルプチュア
- ジェルスカルプチュア
- チップオーバーレイ
これらのやり方は、それぞれに異なる特徴があり、目的やライフスタイルに応じた選び方が大切です。まずは、それぞれのメリット・デメリット、おすすめの人を解説します。
➀アクリルスカルプチュア
アクリルスカルプチュアは、アクリルリキッドとパウダーを混ぜて、ペースト状にしたものを自爪の先にのせ、理想の長さや形を作る方法です。
アクリルスカルプチュアのメリットは、硬化をした後はジェルなどより固く丈夫になるため、長持ちするところです。ただし、スカルプチュアは3~4分程度で固まってしまうので、素早く形成しなければなりません。技術が必要となるので、うまく仕上げるには時間がかかることがデメリットです。
また、スカルプチュアはにおいが強いので、換気ができない環境では行えないこともデメリットといえるでしょう。
しかし、扱いは難しいものの、強度が高く持ちも良いので、施術に時間をかけられる人やセルフネイル上級者におすすめの方法です。
②ジェルスカルプチュア
ジェルスカルプチュアは、専用のジェルを使い、UVやLEDライトで硬化させて長さを出す方法です。
ハードタイプは、アクリルほどではないものの、強度が高いことが特徴として挙げられます。一方、ソフトタイプは柔らかくしなやかで、自爪への負担が少ないため、初心者にも扱いやすいことがメリットです。また、ジェルはアクリルに比べてにおいが少なく、硬化時間が短いメリットもあります。
しかし、ハードタイプはテクスチャーが固めで塗りムラができやすいこと、ソフトタイプはジェルが柔らかいため、素早く形成して硬化をしないと流れてしまうことがデメリットです。ライトが必要な点や、厚く塗ると硬化ムラが起きやすい点には注意が必要です。
ただし、アクリルよりは扱いやすいので、長さ出し初心者や、爪に負担をかけず長さ出しをしたい人におすすめといえます。
③チップオーバーレイ
チップオーバーレイは、スクエアやオーバルなど、あらかじめ形作られたチップを自爪に接着し、その上からジェルやアクリルでコーティングして仕上げる方法です。
装着が簡単であり、短時間で完成することがメリットで、初心者にも人気があります。ただし、耐久性はほかの方法に比べて劣るため、長期間の使用には向いていません。
チップオーバーレイで長さ出しをする場合は、自爪に合うサイズのチップを選ぶことが重要です。適切に装着しないと浮きやすくなるため、注意する必要があります。
しかし、長さ出しにかかる時間は一番短く、特別な技術も必要ありません。短時間で長さを出したい人や、短期間でオフしたい人におすすめです。
アクリルスカルプで長さ出しをする方法
アクリルスカルプを使った長さ出しには、以下の専用の道具が必要です。
<アクリルスカルプに必要な道具>
- アクリルリキッド
- アクリルパウダー
- ダッペンディッシュ(リキッドを入れるガラス製の容器)
- アクリルリキッド専用筆
- ネイルフォーム
- Cカーブスティック(爪のカーブをつけるためのアイテム)
- ネイルファイル、ネイルバッファー、エメリーボード
- ネイルプッシャー、ネイルニッパー、ウッドスティックなどプレパレーション用のアイテム
- ダストブラシ
アクリルスカルプはスピードが重要なので、必要な道具をしっかりそろえてから始めましょう。
STEP1:ベースを整える
まずは、ネイルファイルで爪の形を整えて、ネイルプッシャーやウッドスティックなどで余分な角質や甘皮を押し上げ、ネイルニッパーで甘皮処理をします。甘皮処理は爪周りを清潔に保つため、また、ジェルの密着を高めるために欠かせません。
次に、表面の油分や汚れを取り除き、ベースジェルを薄く塗って硬化させます。これにより、アクリルの密着が良くなり、持ちが良くなります。丁寧に行うことで、仕上がりの美しさと持続力に差が出るので、ベースはしっかり整えましょう。
STEP2:ネイルフォームを指先に装着する
ネイルフォームは、自爪の先端にぴったりと装着することが重要です。真横から見て、フォームが自爪と平行になるようにセットします。
フォームの位置がずれると仕上がりの形に影響するため、慎重に調整しましょう。フォームは長さ出しの土台となるので、フォームの接着部分をしっかりと密着させ、動かないように固定してください。
STEP3:ミクスチュアを作成する
ミクスチュアとは、アクリルリキッドとパウダーを混ぜたペーストのことです。ダッペンディッシュにアクリルリキッドを適量取り、ブラシでパウダーをつけて混ぜます。
作成する際は、あまり混ぜすぎず、適度に弾力があるペーストになるよう調整しましょう。粘度が高すぎると伸ばしにくく、低すぎると垂れやすいため、感覚をつかむことが大切です。この感覚をつかむには練習が必要であり、練習を重ねることで、均一かつ滑らかなミクスチュアが作れます。
STEP4:ミクスチュアを爪とフォームにかかるようのせる
次に、ミクスチュアを自爪の中心から、フォームにかかるようにのせます。まずは、自爪とフォームの境目に置き、ブラシで圧をかけすぎないように優しく伸ばしていきます。
伸ばすときには厚みや長さを調整しながら、自然なカーブを作ることが大切です。時間が経つと硬化が始まるので、手早く丁寧に形を整えましょう。
STEP5:Cカーブスティックで形を整える
ミクスチュアを置いた後、Cカーブスティックなどを使い、アーチの形を整えます。美しいCカーブは、爪の強度を高めるためにも重要で、耐久性を向上させることが可能です。
スティックを使って、均等なカーブを意識しながら慎重に整え、バランス良く仕上げることで自然で美しいネイルになります。
STEP6:爪の表面を整える
アクリルが硬化したら、爪表面の凹凸や形をファイルやバッファーで整えます。表面を滑らかにすることで、ジェルやトップコートの密着が良くなり、仕上がりのツヤもアップします。整える際は削りすぎに注意しながら、自然なカーブになるよう丁寧に磨きましょう。
最後に、ダストブラシでしっかりと爪の粉を落とし、清潔な状態にすれば完成です。
ジェルスカルプで長さ出しする方法
ジェルスカルプでの長さ出しは、アクリルスカルプと似た手順で行います。違いは、アクリルリキッド・パウダーの代わりにジェルを使う点です。
ベースを整えたらネイルフォームを装着し、ビルダージェルやハードジェルを使い、ライトで硬化させながら理想の長さや形に仕上げます。ジェルの硬化後は、ファイルで整えれば完成なので、短時間で長さ出しができます。
チップオーバーレイで長さ出しをする方法
チップオーバーレイは、既製のチップを自爪に接着し、その上からジェルやアクリルでコーティングして長さを出す方法です。
<チップオーバーレイに必要な道具>
- ハーフチップ
- チップ用接着剤(ネイルグルー)
- ネイルニッパー
- ネイルファイル(エメリーボード、ネイルバッファーなど)
- ネイルプッシャー、ウッドスティックなどプレパレーション用のアイテム
- ダストブラシ
ハーフチップは、爪の幅のサイズに合っていないと取れやすくなるので、サイズをしっかり確認しましょう。
STEP1:ベースを整える
まずは自爪の形を整え、甘皮の処理や表面の油分除去を行います。甘皮処理は、ジェルやグルーの密着を良くするために重要なので、丁寧に行いましょう。
次に、ベースジェルを薄く塗って硬化させ、チップとの接着面を整えます。しっかりと準備することで、チップの持ちが良くなり、浮きや剥がれを防げます。
STEP2:ネイルグルーでチップを接着する
自爪に合うサイズのチップを選び、必要に応じて自爪との接着面をカットしてください。準備が整ったら、チップの裏面にネイルグルーをつけ、自爪にしっかりと貼りつけます。接着面の隙間をなくし、浮きがないように丁寧に押さえつけることが大切です。
サイズ選びだけでなく、接着の正確さが持ちの良さに直結するので、グルーが乾くまで動かさず固定しましょう。
STEP3:チップをカットする
装着後、好みの長さや形にチップをカットします。長すぎると日常生活で邪魔になるので、自分に合った適切な長さに調整しましょう。
カットには、専用のネイルニッパーやハサミを使い、丁寧に切り口を整えます。一度にカットしようとすると失敗するので、切りすぎに注意し、少しずつ調整するのがベストです。カット後は、爪先が滑らかになるように、ネイルファイルで整えましょう。
STEP4:ファイルで表面を整える
カットしたチップの表面や境目の段差は、ネイルファイルやネイルバッファーで滑らかに整えます。表面がつるつるのままでは、ジェルやトップコートの密着が悪くなります。段差があるときれいに仕上がらないので、丁寧に磨くことがポイントです。
表面の形を整えたら、ダストブラシで爪の粉をしっかり払って、ベースジェルやカラージェルを塗り、UV/LEDライトで硬化させてください。仕上げにトップコートを塗れば、ツヤのある美しいネイルに仕上がります。
長さ出しをしたネイルに亀裂が入った場合の対処法
長さ出ししたネイルに亀裂が入った場合は、シルクラップなどで補強する方法があります。シルクラップは薄く丈夫な繊維で、亀裂部分に貼りつけることにより、補強と割れの防止につながります。
シルクラップは亀裂部分を覆うぐらいの大きさにカットし、爪に貼ってベースジェルやネイルグルーなどを塗布して硬化します。補修後は、トップコートを塗って保護しましょう。
小さな亀裂でも、放置すると割れが広がってしまうので、早めの補修が重要です。
まとめ
ネイルの長さ出しは、自爪が短くても、理想の長さやデザインを楽しめる魅力的な技術です。長さ出しの方法は「アクリルスカルプチュア」「ジェルスカルプチュア」「チップオーバーレイ」の3種類があります。それぞれにメリットとデメリットがあるので、自分にとってメリットが多い方法に挑戦してみましょう。
セルフネイルでも、正しい手順で長さ出しをすれば、美しく長持ちさせられます。また、亀裂が入ったときの補修方法も覚えておくと、慌てずに対処することが可能です。この記事を参考に、ぜひ長さ出しに挑戦してみてください。
初めてで自信がない人、失敗した経験がある人は、一度ネイルサロンで長さ出しの施術を受けてみるのもおすすめです。